米山と豊里町域にまたがっている平筒沼の東端に、「弁天島(金華山金密寺)」という小島があり、今日まで不思議な言い伝えが残っています。
遠い昔、この島に一人の僧が住むようになり、島に自生しているシキミの葉を摘み取って一葉に一字ずつお経を書き、それを本尊としていたそうです。
僧は、常に一匹の赤蛇を離さず可愛がっていましたが、ある嵐の夜、突然死んでしまいました。 お通夜が開かれたとき、僧と縁の者と名乗る婦人が訪ねてきました。焼香を済ませると、見る間に一陣の風が灯を消し、婦人はたちまち赤色の大蛇に姿を変え、僧を口にくわえて荒れ狂う沼に身を投じたそうです。
やがて、悪夢のような恐怖の一夜も治まり、日が昇りかけたころ、沼の中央から一条の竜巻が舞い上がり、その中に赤白二匹の竜がハスの花飾りの付いた灯籠を捧げて昇天していく姿が見えました。その後、平筒沼はいかなる晴天が続いた年でも、沼の水がかれることはないと伝えられています。